【一般調停】

1.相隣関係

ご近所同士のトラブルは、騒音やゴミの廃棄、木の枝・根の越境の他、北国ならではの除排雪、また空き家の放置など多岐にわたります。些細なことからこじれて喧嘩腰になり、いきなり法的手段をとるというケースも散見されますが、お隣同士は長いお付き合いをしていく関係から、極力円満に解決することが求められます。
民事調停では双方の話を十分にお聞きし、感情のこじれをほぐすとともに、実情に即した調停案を提示し、お互いが譲歩・納得し、後あとに大きなシコリを残さず、円満に解決することが期待できます。

2.男女関係

男女関係のトラブルは、離婚等に関する問題は家事調停になりますが、それ以外の婚約破棄や浮気・不倫、妊娠中絶などの損害賠償、関係解消のもつれに伴う金銭的請求の問題は民事調停で行うことができます。
男女間のトラブルは特に感情的な対立に発展しやすく、無理難題な要求や実力行為が伴うような悲惨な状況が生まれかねません。
民事調停では、双方の話や要望をお聞きし、感情のもつれをほぐしながら、それぞれの事情を考慮した調停案を提示し、双方の合意を得ることで当事者の社会生活や家庭生活の平穏を回復することが期待できます。

3.交通事故

交通事故は一時期よりは減少しているものの、紛争の多くを占めるのが実情です。紛争の解決は当事者同士、保険会社や弁護士等の代理人による「示談」が最も一般的ですが、当事者同士の意見が食い違い、平行線が続く場合に民事調停は有効に活用できます。
民事調停では交通事故の損害調査等に豊富な経験を持つ調停委員が、交通事故の判例や過失割合の基準、また損害賠償金を計算するための基準等を参考に、交通事故専門家の目線から調停案を提示し、双方が合意可能な解決を図ることができます。

4.土地の境界

隣家の一部が越境している、塀がはみ出している等、土地境界の紛争は日常生活などと複雑に絡み、境界が確定したとしても、相隣関係と同様に当事者同士の心のわだかまりが解決しなければ、本質的な解決には至らない可能性があります。
境界には「筆界」(登記された公法上の境界)と、「所有権界」(当事者間で決める私法上の境界)があり、民事調停では所有権界を扱うことになります。所有権界は筆界とは関係なく当事者間で決めることができ、相隣関係同様にわだかまりを解きながら、双方の納得がいく調停案により、円満な解決を目指すことが期待できます。

5.建物の賃貸借関係

(1)賃料の増減額
賃料の増減額の紛争は「調停前置主義(訴訟前に調停手続きを行う制度)」が取られています。これは、賃貸人と賃借人が継続的な利用関係にあり、訴訟による解決よりも、できるだけ話合いで解決することが望ましいからです。 民事調停では不動産鑑定士などの専門家が、不動産の評価基準などを参考に、適正な賃料額を提示し、双方の理解と納得を得る中で円満な解決を図ることが期待できます。
(2)原状回復
建物の退去時に、建物の損耗や汚損等の原状回復費用をどちらが負担するのかという問題が発生する場合があります。入退去時の損耗等の物件の状況を確認していないことや、原状回復等の契約条件の未確認が要因として挙げられます。
民事調停では建築士や不動産鑑定士などの専門家が、専門的な見地や、国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」などを参考に、建物や設備の経過年数を考慮し、合理的で妥当な原状回復費用の提示を行い、双方の理解が得られる解決が期待できます。

6.インターネットトラブル

インターネットの急速な普及により、SNSによる誹謗中傷やプライバシーの侵害、またオンラインショッピング等の消費者トラブルが増えてきています。ネットの世界では相手を特定することが難しいケースもあり、泣き寝入りする場合も多いようです。 
民事調停では、相手が特定できれば申立ては可能であり、訴訟と違い非公開であることから、プライバシーを守ることが可能です。ITの専門家もおり、実情に即した対処と解決方法の提示により、納得のいく解決を目指すことが期待できます。

7.医療過誤

手術をした結果、患者さんが死亡した、あるいは後遺障害が残ったという場合等に、裁判所での話合いを求めて民事調停の申立てがされることがあります。民事調停では、専門家である医師が調停委員として関与し、公正中立な立場と専門的な知識を使って調停案を提示することで、早期の解決が期待できます。

8.請負代金

顧客から業務委託を受け様々な工事を行う会社で、顧客の指示通り完成させたものの、顧客が注文したものと違うとのクレームから、請負代金が支払われないケースが多々あります。当事者間では感情のもつれから、話がまとまりませんが、民事調停では公正中立また専門的な立場から、調停案を提示し、双方納得いく解決が図れます。
企業の場合は信用と信頼が第一ですが、調停手続きは非公開であり、経営への影響も最小限にとどめることができます。

【特定調停】

1.一般的な債務整理

様々な理由からお金を借りて、約束通り返済出来ず、支払い不能や自己破産に陥るケースが多々ありますが、そのような債務整理の手続きの一種として特定調停があります。
特定調停では個人・法人を問わず、借金残高を元に最低限の生活や事業運営が可能となるよう、支払額や返済方法(分割払い等)を債権者と債務者が十分に話し合うことで、円満な解決が期待されます。
特定調停を利用することで、差押えの停止や、元金の減額、利息カットなどがなされる場合があります。

2.経営者保証の債務整理

企業経営者が、会社が金融機関等から融資を受ける際に会社の債務を保証することがあります。会社経営が行き詰まり、会社が破産した場合等に、金融機関等から保証債務の支払いを求められることがあります。このような場合に、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、債権者である金融機関等に対し、債務整理のための特定調停を申立てることができます。
調停期日で債務整理に関する債権者の同意が確認できれば、同意内容のとおりの調停が成立します。
この特定調停の申立ては、債務整理計画を作成し,債権者らと交渉した結果、その債務整理計画を承認するという内諾を取る必要がありますので、詳しくは、「政府広報オンラインのホームページ*」でご確認ください。
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201503/4.html

3.地震被災者の債務整理

日本は地震大国であり、住宅ローンを抱える個人や、事業運転資金を借り入れていた個人事業主が大震災により返済が困難となるケースは後を絶ちません。このような場合、住宅ローン等の債務を整理するため、登録支援専門家の支援を受けて、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に基づき、債権者である金融機関等に対し、債務整理のための特定調停を申し立てることができます。
調停期日で債務整理に関する債権者の同意が確認できれば、同意内容のとおりの調停が成立します。この特定調停の申立てには、登録支援専門家の支援を受ける必要がありますし、債務整理計画を作成し,債権者らと交渉した結果,その債務整理計画を承認するという内諾を取る必要がありますので、詳しくは、「政府広報オンラインのホームページ*」でご確認ください。
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201607/1.html